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 ちいさなちいさな物語のページ update:2003/02/11
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 sigh pain dawn aquarium gap wipe

題:sigh
二人の口から吐き出された白い息が黒くて冷たい空気の中に溶けていく。

僕はいつものたわいのない話を繰り返していた。
彼女は時々うなずきながらその話を聞いていた。
このままいつまでもどこまでも一緒に歩いていくんだと信じていた。

彼女が僕の手を一瞬だけ強く握りしめ、突然その手を離した。
僕が
「どうしたの?」
と言い終わる前に
「振り向かないで」
彼女の小さくて鋭い声が僕の背中に突き刺さる。

そして、彼女は静かに去っていった。


そのまましばらく魔法にでもかけられたように茫然と立ちつくしていた。
暗い空を見上げながら、吐き出されては溶けていく息を見ていた。
そして、いつもよりもたくさんの星が輝いていることに気付いた。

何かを失い、そのかわりに何かを手に入れる。
人生はそんなことの繰り返しなのかもしれない。



by kame

題:pain
どこかがすごく痛む。
痛みが僕がまだ生きていることを証明しているようだが、
その痛みがどこからきているかが曖昧でよくわからなかった。

ゆっくりと目を開けた。
あまりの眩しさに目がなれるまで時間がかかった。
痛みが時間の感覚を鈍らせているのかもしれなかった。

ほとんどが真っ白な視界の中に異質で鮮烈な赤い塊が見えた。
それが何か判ったとき、とぎれとぎれの記憶が急激に蘇ってきた。
そこには彼が横たわっていた。

声をかけようとしたが、無駄だとわかるまでそう長くはかからなかった。

それは些細なほんとうに些細なことから起こったのだ。
いや、僕にとっては些細なことだったのかもしれないが、
彼にとっては重大なことだったに違いない。

痛みがだんだんと遠ざかっていく。
不思議な感覚だった。
視界が赤から白へ、そして真っ黒になった。

遠くで波の崩れる音が聞こえた。


by kame

題:dawn

彼女の夢を見た。

彼女は楽しそうに笑っていた。
あの日の、最後に会ったあの日の
かなしげな彼女ではなかった。

夢の途中で目が醒めた。
目を開けてもそこには暗闇があるだけだった。
再び一度目を閉じてもそこには彼女はいなかった。
記憶に残っているぼやけた残像しかなかった。

時に夢は残酷なことがある。
そう思った。

夜明けはまだずいぶん先のようだ。

by kame


題:aquarium

きらきら輝きながら泳ぐ魚たち。
水面から深く差し込んでいる何本もの光の筋。
大きな大きな水槽を見つめる彼女はやわらかく微笑んでいる。

さまざまな大きさ、さまざまな形、さまざま色の魚たちが泳いでいる。
元気そうなのもいるし、大人しくしているのもいる。
不機嫌そうなのものいるし、ご機嫌な泳ぎをしているのもいる
子供達が遠足するかのように団体で泳ぎ回っているのもいる。


「あっ、あれ美味しそう」
いつものようにそういう冗談を投げる僕に
彼女は目を細めて軽い非難の視線を投げ返す。

いつものこと、いつもの表情、いつもの笑顔。
幸せというのはこういう瞬間の積み重ねなのだろう。


鼻の先を水槽にくっつくくらいに近付ける彼女。
そうしていると自分が水に溶けたかのような感覚あるそうだ。

僕はそんな彼女の顔をじっくり見つめてみる。
彼女の小さな水槽にきれいな熱帯魚が泳いでいた。

by kame


題:gap
暗い部屋で目が醒める。

エアコンがくぐもった低い音をたてながら、柔らかな風で僕の頬を撫でて続けている。
その風は僕にとっては少々寒すぎるくらいだけど、
彼女のリクエストには従っておいた方が面倒なことにならない。

もう一度眠ろうとするのだけれど、そう簡単には眠れないそうにはないので、
いつものように目を閉じていろいろなことを連想ゲームのように考える。
今日食べたもの、今日観た映画、今日買った彼女のピアス...
彼女との休日はいろいろなことがつまっていて、場面が次から次へと浮かんでは消えていく。


いつのまにかカーテンの隙間から、光がさしこんできている。
そこにはキレイな月が浮かんでいる。
目を凝らしてじっと見ていると、なんだか少しずつ月が大きくなっているような気がしてくる。

彼女に知らせるべきなんだろうか?
彼女はこのキレイな月を喜んでくれるだろうか?

僕の狭い視界から月が消えかかるころ、ようやく眠れそうな気がしてきた。
もう一度彼女におやすみを言って、僕は目を閉じた。


by kame

題:Wipe
この雨はいつまで降り続けるのだろう。

わずかに憂鬱さを含んだ真っ暗な道をゆっくりと進んでいくクルマ。
ときおりすれ違う対向車のヘッドライトのまぶしさが、その憂鬱さを紛らわせてくれる。

乾いた音をたててフロントガラスに落ちてくる雨と指揮者のような正確さで往復するワイパーが目の前で空しい和音を奏でている。


うつむいている助手席の彼女のほほを流れ続ける雨。
その一筋の流れが何かに反射して僕を責めるように強く光る。

こんなにも近くにいる二人なのに、
お互いの気持ちは遥か彼方にあるような気がする。

彼女の涙を払うワイパーはどこにもない。
少なくても今の僕には見つけることはできないのだろう。


雨はいつまで降り続けるのだろう?



by kame


注:この話は、あくまでもフィクションであり著者の妄想ですので誤解なきよう
是非、御意見御感想をBLUEBOARD にお願い致します。
なんでも書いていってください。
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